中国 北京

賠償額520万元 「美巢集団」が「美巢建材」に全面的に模倣された案件

(四川省法院2019-2021年度代表的不正競争事件トップ10に入選)

 

【案件概要】

上訴人(一審被告):江蘇美巢建材有限公司(以下、「美巢建材公司」という)

被上訴人(一審原告):美巢集団股份公司(以下、「美巢集団公司」という)

一審被告:成都市武侯区鴻發装飾材料経貿部(以下、「鴻發経貿部」という)

 

美巢集団公司の商標「美巢」は、「北京市著名商標」として認定され、馳名商標の保護を受けたことがある。

美巢建材公司は、「美巢」を商号として登録し、美巢集団公司と同種の家庭用装飾補助製品を製造・販売し、これらの製品に「美巢」ロゴを目立つように使用した。「美巢」グループの有名なサブブランドである「易刮平」「刮墙腻子」「粘瓷宝」などと同一または類似の商標を同種の製品に使用していた。製品説明や宣伝広告には、美巢集団と混同性を有する宣伝用語を使用している。美巢建材公司は、美巢集団公司の登録商標とドメイン名の主要部分をウェブサイトのドメイン名(www.meichaoxz.com)として登録し、ウェブサイトのレイアウトに美巢集団公司のものと酷似したデザインを使用し、本社が美巢集団公司の本社である北京にあると偽っていたほどであった。

美巢建材公司は、全国12地域に代理店を設け、支店も多数設置し、美巢集団公司のプロモーション戦略を踏襲し、CCTVにも広告を出している。

美巢集団公司は、美巢建材公司の行為は商標権侵害及び不正競争に該当するとして、美巢建材公司に侵害行為の停止と美巢集団の経済損失及び合理的費用、合計1,000万人民元の賠償を求め、裁判所に提訴した。

 

【判決結果】

成都中級人民法院は、美巢建材公司が美巢集団公司の社名、ドメイン名、ウェブサイトのデザインとレイアウト、製品名、宣伝文句など多くの面で模倣し、その行為は商標権侵害と不正競争の両方に該当すると判断した。

また、本件は、懲罰的損害賠償の適用条件を満たしていないが、明らかに悪質な侵害であること、美巢建材による侵害の範囲が広範囲であることを考慮し、賠償額として法定賠償額の上限である500万人民元を決定し、併せて権利行使のための合理的費用として20万人民元を支払うべしとした。一審判決が出た後、美巢建材は上訴したが、四川省高級人民法院は、上訴を棄却し原判決を支持するとの判決を下した。

 

【案件意義】

市場事業者は、その業務において信義誠実原則を守り、既に存在する他人の営業上の信用にフリーライドしてはならない。会社名、商品名、商品の包装・装飾、ドメイン名、ウェブサイトのレイアウト、宣伝文句など、あらゆる面で商標権を模倣していれば、悪質な侵害と認めるに十分である。悪質な侵害の場合で、懲罰的損害賠償の適用条件を満たさないときは、特定された状況に応じて、裁量的に賠償額が決定されることがある。

本判決は、悪質な侵害の判断や、懲罰的損害賠償に該当しない状況での悪質な侵害の懲罰の仕方について、参考になるものである。

 

一審判決番号:成都市中級人民法院(2019)川01民初7068号

二審判決番号:四川省高級人民法院(2021)川知民終896号

 

北京フェアスカイ特許法律事務所は、本件の勝訴側を代理しました。

 

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