中国 北京

中国初のチップ・リバースエンジニアリングを利用した現有技術抗弁を成功裏に代理

凹凸科技(中国)有限公司(以下、「凹凸公司」という)が同社の発明特許権を侵害したとして西安華泰半導体科技有限公司(以下、「華泰公司」という)を上海知識産権法院に提訴した係争事件において、北京フェアスカイ特許法律事務所は華泰公司を代理したが、2021年6月16日、現有技術抗弁が裁判所で認められ、凹凸公司の発明特許権を侵害しないと認定した。これにより、フェアスカイは華泰公司の一審勝訴に助力し、その通常生産・経営活動の技術的障害を取り除いた。

 

【案件概要】

2019年5月、凹凸公司は発明特許権侵害を理由に上海知識産権法院に華泰公司を訴え、数千万人民元の損害賠償額を請求した。係争特許の優先権日は2008年2月1日で、電池電圧変換システムに係り、具体的には、電池電圧を測定する際に補償電流を流すものである。

フェアスカイの弁護士チームは、華泰公司が提供した手がかりに基づき、案件の状況に合わせて、M社が先に販売したチップを現有技術として抗弁する戦略を採用した。正規ルートでM社のチップを購入し、専門組織に回路図の作成を委託し、係争侵害製品はM社が先に販売したチップの回路と同一のものであることを証明した。また、フェアスカイは、チップ回路の使用公開に関する完璧な証拠チェーンを裁判所に提出した。

最終的に、裁判所は、M社のチップ回路は公衆が知りたければ取得できる状況にあると認定し、使用公開と認定することができ、原告の訴訟請求を全部却下するとの判決を下した。

 

【案件要点】

本件における争点は、M社のチップ回路が特許法上の現有技術であるかどうかである。

すなわち、係争特許の優先権日は2008年2月1日であり、2000年「専利法」に規定した相対的新規性の基準により、現有技術が出願日/優先権日の前に国内で公開使用されていたかどうかが争いになる。よって、本件の重要な点は、M社のチップは特許優先権日の前に国内で既に公開使用された状況にあることをどう証明するかである。

フェアスカイは、大量の証拠捜し及び検索作業を経て、チップに印刷された生産日、M社の2002年ウェブサイトにおけるチップの販売開始時期に関する説明、古い時期の販売状況、古い時期の回路リバースエンジニアリングの報道、検索測定機関の検測レベルなど、チップ回路の使用公開に関する完全な証拠チェーンを組み、現有技術抗弁を成功裏に実施した。

 

【まとめ】

特許現有技術公開抗弁の難点は、完璧な証拠チェーンをどのように形成し、現有技術が出願日/優先権日の前に公衆が知りたければ取得できる状況にあることを証明できるかどうかである。本件で、フェアスカイは華泰公司と協力し、証拠チェーンを不断に組み上げ、最終的に使用公開が認められた。

なお、チップのリバースエンジニアリングを使用した現有技術抗弁が成功したのは、中国国内の判例としては初めてであり、今後の特許権侵害案件での先行技術抗弁に新たな指針を与えるだろう。

 

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